『東京事変×椎名林檎』の最高傑作は『閃光少女』だと思う。

音楽

さかなです。
椎名林檎っていう人がツアーで全国を周っていた時に、バンドメンバーとして引き連れていたメンバーがそのままバンドになったのが『東京事変』です。

で、その東京事変っていうバンドの曲で「閃光少女」っていう曲があります。

僕は東京事変のファンだったのですが、(もう解散しちゃったので過去形)「東京事変で一番好きな曲は何?」って聞かれたら、多分、「閃光少女」って答えると思います。

今日はその、「閃光少女」っていう曲がいかに素晴らしいか?東京事変というバンドがいかに素晴らしいバンドだったか?全力で語っていきたいと思います。

東京事変のファンの人なら、「あーわかるわかる」って言ってもらえると思うし、東京事変のファンじゃない人なら、「そんなにすごいバンドだったんだ」って思うと思います。

バンドはもう解散しちゃいましたが、音源はいつまでも残っているので、ぜひ、この記事で魅力を知ってもらって、手にとって聴いてもらえると嬉しいです。

また新たな世界が広がると思います。では、早速行ってみましょう、「閃光少女」の魅力に迫ります!

曲に込められたメッセージを聴け!

閃光少女の歌詞で、僕が好きなフレーズがあります。

それは、
「明日まで電池を残す考えなんてないの」
「一瞬の光でまたとない命を使い切っていくから」
「〝これが最後〟だって光っていたい」

っていうフレーズです。

僕の完全な主観ですが、この曲に込められたメッセージは、〝この瞬間を生きろ!〟っていうメッセージだと思います。

僕はこの曲を聴くたびに、涙が溢れてくるし、今を真剣に生きなくては!っていう気にさせられます。なので、この曲は、今を生きるすべての人に聞いて欲しいです。

だって、「〝これが最後〟だって光っていたい」ですよ?

多くの現代人は、後のことを考えながら行動していると思います。そして、それが逆に人生に影を落としていると思います。後のことなんてどうなってもいいから、今この瞬間に全力を込めたい・・・っていう瞬間なんてなくないですか?

例えるなら、「甲子園球児」みたいな感じです。

腕がちぎれたっていい、後のことなんてどうなってもいい、とにかく、今この瞬間にできる全力を・・・甲子園球児はそういう覚悟でマウンドに上がっています。

今この瞬間、自分の命を光らせて、最大出力の輝きで全力を尽くす。そういう生き方です。

「一瞬の光でまたとない命を使い切っていくから」そういう生き方です。

突然ですが、あなたは、そういう生き方ができているでしょうか?普通に日本に生まれて、普通に日本の学校教育を受けて、普通に就職して、普通に働いていたら、多分、そういう生き方ってできないと思います。

でも、別にそれが悪いっていうわけではなくて、そういう正しい生き方も絶対に必要だし、すべての人が後のことなんてどうなってもいいって考えて、好き勝手に行動していたらそもそも社会が成り立ちません。

なので、そういう生き方が良いとか悪いとかではなく、あくまで、生活の中で、そういう瞬間がありますか?っていう質問です。

「自分の命を浪費していませんか?」っていう問いかけなんです。

そしてこれが、この「閃光少女」に込められたメッセージだと僕は感じています。

〝命を使い切っていく生き方をしよう〟そういうメッセージだと思っています。なので、今がつまらないとか、得体の知れない閉塞感を感じるとか、ストレスにまみれているとか、ワクワクする瞬間がないとか、そういう人にはぜひ聞いてもらいた楽曲です。

この曲に込められたメッセージを感じとることができれば、きっと「命を使い切る生き方」というのができるようになります。頭の中にそういう選択肢が生まれますから、何かの決断の時に、自分の命にとって正しい選択ができるようになります。

命を浪費するのではなく、使い切る。ぜひ、この曲を聴いて、そういうイメージを持ってもらえると嬉しいです。

楽曲としての完成度もスゴい。

「閃光少女」は東京事変のベース担当亀田誠治(通称:師匠)が作曲し、その曲に椎名林檎が歌詞をつけた曲で、東京事変ファンの間でもかなり人気の高い曲です。

この曲が生まれた経緯にはまた面白いエピソードがあって、師匠が雪国で電車に乗っていた時に、雪の中をある女子高生が歩いていたそうなんですね。雪が降り頻る中、かじかんだ手をこすりながら傘もささずに少女が歩いている。彼女の髪には少し雪がかかり、吐く息は白く、降り積もった雪に足跡を残しながら歩いていく。

師匠はそんな情景を見た時に、〝この少女にはどんな未来が待っているんだろう〟と思ったそうです。そして、その情景がインスピレーションとなり、少女の未来が明るいものであることを願うと同時に、「閃光のように今を駆け抜ける少女の曲を書こう」と感じて『閃光少女』が生まれたのだそうです。

リズムは4つ打ちで、アップテンポでかなり早いリズムで、その曲名のとおり、始まりから終わりまで「駆け抜ける」ようなイメージの曲になっています。

4つ打ちとは、ドラム用語で、バスドラムが1小節に4分音符が4回続くリズムのことで、よくダンスミュージックなんかに使われるノリやすいリズムです。

東京事変では、結構、この「4つ打ち」が使われていて、東京事変のファンに「東京事変で好きな曲は何?」って聞くと、かなりの高確率でこの4つ打ちが使われてる曲が候補に上がります。

でも、リズムは一定なのに、前半は静かに始まり、後半に差し掛かるにつれてどんどん盛り上がっていきます。

この〝盛り上げ感〟も東京事変の得意とするところです。

最初は浮雲さんのギターと椎名林檎のボーカルだけで始まります。そして、最初の8小節が終わり、Bメロが始まると同時に、ベースとギター2とドラムが鳴り始め、一気に音圧が増えるのですが、でも、まだこの時も静かなんです。

音は鳴っているけど静か。でも、まだ盛り上がっていないんだけど、これからだんだん盛り上がっていきそうな雰囲気です。笑

東京事変は、こういう雰囲気作りが本当にうまいです。そして、そのままサビ、2番と流れていき、最後のサビが終わった後の楽器部隊!これがいいんです!

東京事変の楽器隊はめちゃめちゃレベルが高く、各楽器担当は、その楽器では日本トップレベルのプレーヤーです。だから、楽器だけ聴いててもレベルが高くてすごく面白い!

なので、東京事変の曲には、楽器を聞かせるパートが一番最後に用意されていることが多いです。

人気の曲で閃光少女以外では、「群青日和」とか、「透明人間」とか、「空が鳴っている」とか、「キラーチューン」とか、楽器を聞かせるタイムがあります。

楽器が好きな人が聴いても楽しめるし、楽器がわからなくても、曲の余韻を楽しめるのがいいと思います。実は東京事変の曲が最高潮に達するのは、ボーカルがいなくなってからなんです。

「閃光少女」も静かに始まってだんだん盛り上がっていくのですが、もっとも盛り上がる瞬間はボーカルが終わってからの楽器タイムなんです。笑

そういう曲の構成はやっぱり東京事変ならではだと思いますし、その雰囲気を作り上げていく椎名林檎さんの歌唱力も素晴らしいと思います。〝歌でない部分を歌で盛り上げていく〟そういうことができるボーカルっていうのは、多分、日本で他にはいないんじゃないかと思います。

単純に、椎名林檎さんより歌がうまい人はいるかもしれませんが、曲の全体構成まで考えて声色を変えたり、声量を調節して、「自分の歌」ではなく、「楽曲」というところに焦点を当てる。聞いている人の感情が一番盛り上がる部分に焦点を当てて、そこに誘導していく歌唱力っていうのは天性のものがあると思います。

椎名林檎さんは日本の歌手の中でも、本当に唯一無二の存在だと思いますね。

自由すぎるメンバーをまとめる師匠の存在

東京事変を語る上で、「師匠」の存在を欠かすことはできません。

「師匠」こと亀田誠治さんですが、この人のベースがあるからこそ、東京事変が成り立ちます。というのも、他のメンバーが個性的すぎるんです。笑

ドラムの刃田さんはもうめちゃくちゃ。ドラムの叩き方も教科書とはかけ離れた目茶目茶サウスポーだし、ドラムセットもなんか普通じゃない配置だし、個性が強すぎます。笑

僕もドラムを経験していたので、初めて刃田さんのドラムを見た時は衝撃でした。〝プロでこんな叩き方やっていいの?〟という印象です。ドラム教室では、正しい姿勢とか、正しいスティックの持ち方とか、正しい叩き方を教わるのですが、刃田さんはそんなことフル無視で我が道をいくスタイルですから本当に衝撃でした。

しかも、手数は多いけど、実はよく間違えるし、気分で叩き方が変わる「超変則ドラム」です。笑

対して、ギターの浮雲さんは走り回りすぎなんです。実際に浮雲さんが走り回っているのではなく、ギターの音色が走り回っていて、イメージとしては親の言うことを聞かない子供が走り回っている感じ。笑

もう、音があっちこっち飛び回るし、跳ねたり転がったりして無邪気な子供みたいなギターで滅茶苦茶なんです。

キーボードの「わっち」は、普段は割と静かに弾いてるんだけど、いざ、自分の見せ場になると完全に自分の世界に入ってしまって帰ってこない。笑

楽器隊の4人中、3人が自由人すぎるんです。

普通ね、こういう癖のある人たちを楽器隊に入れちゃダメなんですよ。笑
音楽として成り立たなくなるから。でも、その自由すぎる3人を統括するのが師匠のベースなんですね。そこがすごい。

ちゃんとドラムのリズムを調整して、ちゃんとギターのフォローに回って、ちゃんとキーボードの世界観を壊さず活かす!

ある番組で、布袋寅泰さんの密着をやっていたのですが、その時に布袋さんがバンドメンバーについても言及していて、「いや、今回のメンバーはすごくいいです。自分の音を出すんじゃなくて、ちゃんと他を活かす音を出してくれる。すごく頼りになります。」

って言ってたんですね。その時のバンドメンバーのベースは師匠だったんです。

〝もうこれ、師匠のことでしょ〟って僕は思いました。

そうなんです、師匠のベースは他を活かすベースで、全体構成をちゃんと考えたベースなんです。だから、別に師匠は特殊なベースを弾くわけじゃないんです。上手いと言えば上手いけど、師匠の上手さは技術的な上手さではなく、音楽プロデューサーとしての上手さというか、総合演出家的なベースなんですよね。

どちらかというと、どっしり構えて、みんなをサポートする感じ。でも、そんな縁の下のベースがいるからこそ、他の自由人たちが活きてくるし、輝く。そういう視点で、師匠のベースに注目してみるのも面白いと思いますね。

もうね、東京事変の音楽っていうのはただのJ-POPじゃないですよ。「芸術」です。「アート」です。

聞いてると、その緻密な構成、全体のまとまり、形、音色、に圧倒されます。その全てが心の琴線に触れてくる「アート」です。その芸術性を感じるだけで、僕は勝手に涙が溢れてきます。ただ、美しいから。「音」が美しいって、ちょっと変な言い回しですが、本当にそう思います。

東京事変の楽曲は美しいんです。あぁ、また復活しないかな・・・東京事変・・・笑

ということで、東京事変の魅力を全力で語ってみました!

曲の成り立ちから、曲のメッセージ、曲の構成、それからバンドメンバーの個性、師匠のベース、最後に「アート」として、それらを感じながら6回くらい是非、聞いてみてくださいね!笑

あ、ちなみに「閃光少女」ではキーボードの「わっち」はギター弾いてます。東京事変では曲によってわっちがキーボード弾いたりギター弾いたりします。そういうところも音楽の広がりとして良いよね。わっちがキーボード弾いてる楽曲もぜひ聞いてみてくださいね!

おしまい。

コメント

  1. のりこ より:

    閃光少女を聞くと涙が出ちゃう、同じ思いです